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№101「顧客クレーム処理の本質」
2023年10 月18日(木)
株式会社昌平不動産総合研究所 取締役 清宮 仁 様
クレームはつきものである
建物の維持保全業務(以下、仕事と呼ぶ)を遂行する上で、ステークホルダー(契約先顧客や関係者)からのクレームは無いことが理想だが、ちょっとした意思疎通の齟齬から重大事故まで、現実は大なり小なりクレームがつきものと言っても過言ではないだろう。
暑い・寒い・汚い・臭い・うるさい・動かない・水漏れ・管詰まりなど、設備や機器(以下、ハードと呼ぶ)の運転管理、故障によるもの。仕事が雑・手抜き・報告がない・対応が遅い・態度が悪い・費用が高いなど、仕事の仕様や手順、原価、技量、人間性、管理体制(以下、ソフトと呼ぶ)の品質、価格、納期によるものまで、クレームをつけようと思えば枚挙のいとまがない。しかし、クレームを受けた後の処理の仕方で、顧客との信頼を強くすることも、弱めることも、最悪は取引停止に至ることがあるのもクレームである。
クレーム処理は初動で決まる
クレーム処理の初動はどうあるべきか。「巧緻より、拙速を尊ぶ」ことが基本である。時間をかけて緻密で上手な対応をするより、大雑把でもすぐ動く。ぐらいの意味と捉えて欲しい。段取りや効率を考えると、詳しい状況を聞いてから動きたくなるが、ドラマの「事件は現場で起こっている」のである。まず現場を見て、顧客と会うことで、クレームの軽重が把握でき、顧客の怒りを解いたり、安心感を与えるのである。警察官や消防車を見て安心するのと同じで、到着が遅れただけで批判の的になる。
次に「報連相」である。誰に、何を、報告・連絡・相談すべきかを判断する。クレームの内容や影響によっては、上司に報告。関連業者へ連絡。専門家に相談する。その場で解決できたクレームでも、顧客がらみの場合は上司へ一報することを忘れてはならない。担当者には「たいしたことでない」としても、現場の過去や微妙な状況を知る上司にとっては重要かもしれない。
真因の追求と再発防止が重要
クレームはハードとソフトで処理が異なる。ハードのクレームでは処理を誤るとソフトのクレームに発展することもあるので確実な処理が望まれる。
ハードのクレームには必ず原因があり、原因を早期に発見し、取り除く(復旧・修繕)ことが仕事である。
例えば「動かない」クレームの原因が電源ブレーカーの遮断であれば、復旧することで仕事が終わる。しかし、本当にこれで終わりだろうか。なぜブレーカーが落ちたのかを調べることが真の原因(以下、真因と呼ぶ)追及であり、再発防止につながると考えるのがビル管理者ではないだろうか。
ブレーカーが落ちる原因は、過電流、漏電、人為的な遮断が考えられ、過電流も機器自体の短絡や過負荷、電気回路の短絡、負荷機器の増設がある。人為的な遮断はあり得ないと除外しないで、分電盤(あるいは電気室)の鍵はかかっていたか。鍵は管理されているか。別工事で作業者が間違えて遮断することもある。と広い視野で考えなければならない。
真因が解れば、再発防止対策は容易である。負荷機器(電子レンジなど)の増設なら増設した者に注意する。不特定ならコンセントに注意書きを貼って喚起する。人為的なら鍵の管理体制を見直す。たかがブレーカーの遮断でここまでするのか?と思うかもしれないが、再発を繰り返せば、利用者の不満は募り、顧客の信頼は低下し、火災や人身事故のような重大事故につながる可能性も出てくるのである。真因をつかみ、再発防止を図ることが仕事の基本である。
昔、筆者の経験した人身事故は、ブレーカーが原因で子供が生まれたばかりの20代の若者の命を奪ってしまったものだった。その若者は、分電盤のブレーカーを遮断し、空調機制御盤内部の作業を素手で行っていたところ、誰かが誤ってブレーカーを投入したための感電死であった。改修工事現場で分電盤が開いていたこと。分電盤に「作業中」の表示をしていなかったこと。素手だったこと。が重なった不幸な事故である。
プロのネットワークを創る
真因が解らないことも間々ある。例えば「水漏れ」は厄介である。機器からの漏水は特定しやすいが、雨漏れは建物躯体を伝わり落ち、水路を直接目視出来ないため侵入経路の特定は困難なことが多い。このような時は、利用者の不便・不快に最大限配慮した応急処置を行い、顧客と元施工会社の仲介、顧客への専門家(第三者施工会社など)の紹介、顧客や専門家へ正確な情報(漏水時期・気象・頻度・水量など)の提供が仕事となる。
自力で解決しようとする姿勢も大切だが、早く解決することが顧客サービスと考え、その道のプロにつなげることである。そして、プロの仕事ぶりを観察して技術を学び、人脈と言うパイプを作ることである。オールマイティーのビル管理者は少ないが、人脈を駆使すればオールマイティーになれる。
人間の五感は優れた測定器
ハードクレームの大半は、日常の仕事の延長線上にあることに気が付いただろうか。運転管理とはオン・オフと数値記録だけではなく、異常な音、におい、振動、熱など、個々の設備機器が「いつもと違う」ことを五感で監視することでもある。
故障は突然発生するものではない。それぞれに予兆現象がある。異常な振動は防振架台の緩みであったり、異常音はベアリングの給油不足であったりする。これらを放置すれば、より重大な故障に発展し、復旧時間も修繕費用も増大し、顧客の不利益になるのである。
予防保全とは、メーカーが寿命だと言うから更新するのではなく、故障を未然に防ぐ設備管理のことである。そのためには、いつもの状態を知らなければ、いつもと違うことが解らないのである。さらに言えば、設備機器の周りは綺麗にすることが基本中の基本である。昔、米国のビルの機械室を見たときに床が綺麗に塗装され、余分なものはなく、清掃が行き届いていることに感銘を受けた。理由を問えば、油や液漏れ、部品外れ、工具備品の置き忘れなどすぐ判るからとのことだった。仕様書や手順書に記載されないが、ビル管理の基本だと感じた。
ソフトクレームは本質を見ぬくこと
ソフトクレームは真因の特定が難しい。クレーム事象(顧客などから指摘されたこと)が必ずしも問題ではないからである。直接の事象は氷山の一角であって、水面下に目的認識の誤解、意思疎通の齟齬、顧客側の事情、日頃の不信不満、好悪の感情などが隠れており、人間的、相対的なものであることが多いからである。
例を挙げてみよう。管理物件の環境測定(ビル管理法で温度・湿度・CO2濃度など基準が定められ、定期的に測定しなければならない)で、CO2濃度が基準値を超えた部屋があり、顧客から外気導入量の測定を指示されて調査したところ、基準値を超えた系統の外気ファンが停止していた。
直接の事象はファンが止まっていたから換気量が足りず、CO2濃度が上昇したと考えられる。よって、停止していたファンを復旧して換気を確保する。停止した原因を探り、再発防止対策を行う。というハードのクレーム処理で一件落着したはずである。
しかし、担当者は調査目的を誤解し、外気ファンが止まっていても排気風量で代用できる(実際は出来ない)と考え、指示されていない排気風量測定や(顧客サービスのつもりで)ダンパ調整を行い、報告をしたことで問題を複雑化した。
何故なら、報告に真因である外気ファンが停止した原因や影響、再発防止対策は一切触れてなかったからである。その後、質疑応答を繰り返しても問題の本質に気付かないままのために顧客の堪忍袋の緒が切れたのである。
このクレームの本質は何か。機器の故障(ハードクレーム)を放置した管理責任である。そして、故障を発見してからの対応や報告内容、再発防止対策などの品質管理体制を問われたのである。クレームの本質に気付かないから、余計な仕事(質疑応答の繰り返し、やり直し作業、報告書作成、謝罪などの時間の浪費)で原価を押し上げ、挙句に顧客の仕事時間を奪い、信頼を失うのである。
真因の追求と再発防止の標準化が品質管理である
ソフトクレームの本質を考える時は、仕事の目的(あるべき姿)とクレーム事象(現在の姿)の整合性を見ることである。クレームは目的と事象が乖離しているから起きるのである。その乖離が起きる真因を探り、有効な再発防止対策を考えるためには「なぜ・なぜ・なぜ」を繰り返さないと見えてこないことが多い。表面にあるクレーム事象の裏に隠れている問題をあぶりださなければ真の再発防止にはならない。
前述で言えば、「管理責任」は表面の事象で、再発防止は「管理手順の見直し」となるのが一般的だ。では「なぜ」見直すのか。「管理手順に洩れていた」からである。では「なぜ」洩れていたのか。「管理計画が不充分」だからである。では「なぜ」不充分だったのか。「担当者任せでチェック機能がない」からである。このように「なぜ」を繰り返すことで真の問題点に近づく。この例で言えば、再発防止は「管理計画(報告書も)をチェックする専門家を置き、管理計画の洩れを無くす」となるのではないか。
大事なことは、表面的な対策で該当顧客は納得いただけたとしても、他現場で類似事故を起こす可能性が排除できていないことである。つまり、一現場の品質は上がっても、会社の品質は上がっていない。しかし、真因まで掘り下げた対策は、標準化することで他現場でも再発防止になり、会社の品質が上がる。これが品質管理である。
大きなクレームに発展するときは複合的な要因が重なることが多いが、発端は小さなクレーム処理の誤りと積み重ねで不信不満が蓄積し、感情的な問題になる。感情的になると、正論ではなく、誠意をもって当たるしかないが好悪の感情は誠意も通用しない。
だから、小さなクレームといえども軽視せず、「報連相」で現場も、管理職も、経営者もクレーム情報を共有して、小さいうちに再発防止につなげる品質管理体制を築くことが会社の更なる発展の礎になると確信する。
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